【 ノベルティ 事例 】精密機器メーカー由紀精密、大坪社長へインタビューしました
3分以上回る”コマ”を企業 ノベルティ に
ネットリサーチ(インターネット調査)国内No.1であり、最新のデータ&テクノロジーを活用して顧客企業のマーケティングを支援するマクロミル。そのタイミングで製造メーカーさんに取材に伺いました
※2018年当時の取材記事です
※こちらの事例は、takibi 在籍時に制作しました。
2018年初めにマクロミルさんがお年賀で制作した企業ギフトは、お正月らしく”コマ”でした。ただ、毎度毎度、趣向を凝らしまくっているマクロミルさんですから、普通のコマではありません。この可愛いシルバーのコマ、なんと3分ほど回るんです。一度手にとって、回してみたい!と思いませんか?
こんなに小さい!
製造依頼した由紀精密さんは神奈川県茅ヶ崎市に本社を構える従業員30人ほどの小さなメーカーです。しかし、主な取引先は航空機メーカー・JAXA・医療機器など高精度な精密部品を必要とする大きな会社。
今回製作を依頼した彼らのプロダクト「SEIMITSU COMA」について、またブランディング戦略について、お聞きすることができました。
大坪社長へお話をお聞きしました
ー今日はよろしくお願いします。
こちらこそお越し頂きまして、ありがとうございます。 また「SEIMITSU COMA」のご発注頂き、本当にありがとうございます。
ーこちらこそ短納期の中でご対応ありがとうございました。マクロミルさんは今度、社内でコマ回し大会を実施されるそうです。
なるほど、そうやって盛り上がって頂けると私たちも嬉しいです!早速ですが、コマ回し見てみますか?
ピタッと安定する大坪社長のコマ回し
(一同)おお、すごい!
ー大坪社長、すごくお上手ですね。コツは何かあるんでしょうか?
回した時に自然に軸が下向きになるような感じで、コツは指を鳴らすイメージで力は抜いて、という感じです。あとは「全日本コマ大戦」というイベントでコマを回す大事な役だったので、プレッシャーを感じながら練習した結果でしょうか(笑)一回計測したんですが、2万回転出てるんですよ。
ー思わぬ技術に興奮してしまいました(笑)まずは由紀精密について教えてください。
はい、私たちはネジ屋からスタートしています。安くて量が多いものを作るのが得意な加工屋だったんです。そうすると、どうしても値段の勝負になっていきますよね。
ブルーオーシャン戦略を考えると、付加価値の高い部分で勝負していかないといけない。そこから強みである製造技術に特化した部分を、どう伝えれば良いか?を考えるようになりました。
コマはその技術力や高精度な量産技術、を見せるための手段という位置付けです。 例えば、これは弊社の技術で難削材(インコネル)という削るのが難しい素材をハニカム形状にカットしたものです。
ーこれはすごい。。。蜂の巣みたいですね。高い技術力が素人目にも一発で伝わります。どうして”コマ”を作ろうと思ったんですか?
弊社は飛行機や医療機器の精密部品が主な製品です。海外へも出荷することが多いのですが、当時プロモーションの一環でパリの航空ショーに出展する機会がありました。細かい部品を正確に作れる技術を、海外の方へわかりやすく伝えるため”コマ”を作りました。
ーでは、プロモーションツールだったんですね。
はい、これは航空機のベアリングを作るのと同じ技術で作ったものです。日本のメーカーは海外では存在感なかったので、きっかけには非常に良かったですね。
それを日本に持って帰ってきたら、同業者の加工屋さんなどが面白がったんですね。で、「全日本コマ大戦」というイベントまで広がっていきました。
本当は大きいコマだと、もっと安定するので長く回るんです。ただ、こんなに小さくてもしっかり軸が安定して回り続ける、ということへの驚きがあったんですね。
ー今回は緊急の対応にもかかわらず、受けてくださいました。
いえいえ、我々としても最初お聞きした時、何かの間違いだと思いました(笑)7000個も発注していただけるということで、過去最大の量でしたね。ただ計算上は間に合う見込みがたったのでお受けできて良かったです。
ー営業はされているんでしょうか?
営業マンはいますが、自分たちからクライアントへ向けての営業はそこまでしていません。売上の7割が医療機器と宇宙関連の部品です。
リピート商売に近いので、新しい部品はそんなに作る必要はありません。どちらかというと話題作りの情報発信から話が始まります。メディアに取材してもらったり、それこそコマなどをきっかけに知った方から「こんなの作れない?」相談をもらったりするケースが多いです。
新しいアイテムを見て、ピンとくるお客さんとは相性がよかったりしますね。
ケースに入り出荷を待つコマたち
ーなるほど、既存のお客様で回転するんですね。となると、売上の目標などはどう立てているんでしょうか?
そうですねえ、営業ノルマとか特にないんですよ。この前も全体会議に出てたら、「へぇ、今年の売上目標そんなに増えるんだ!」私が驚く、みたいな(笑)
ー社長なのに他人事ですか!(笑)
はい、そうなんです(笑)あまり価格競争をしなくても、品質管理のレベルや、認証取得を評価していただき、信頼をいただけているのが弊社の強みです。おかげさまで、営業に関してそこまで執着せずにいられるのかもしれないですね。
厳しい品質管理の工程が伺えます。
ー海外での”日本製品”の反応はいかがですか?
日本メーカーへのリスペクトを感じますね。特にフランスのメーカーからは評価されています。スイスのメーカーは同じような高い技術力勝負なので、どうしても競合になる。スイスの厳しい市場から認められることは重要なので、より頑張って行きたいですね。
コマもツールとして作りましたが、全て由紀精密の部品で作った時計もインパクトを与える製品となっています。
ーお話をお聞きしていて、マーケティングやブランディングへの意識が非常に高いと感じました。そのように考えられるきっかけは何かありましたか?
以前に私がいた会社の社長が、デザイン思考・カッコよさへのこだわりがある人でした。彼に影響を受けたのが大きいですね。大企業なら広告宣伝費がありますが、我々は中小企業なので、デザイナーも自前ですし、コストをかけず試行錯誤しています。弊社ロゴは前の会社の後輩に頼みました。
あ、後は1年くらい前からDJ×町工場、という試みも裏側で動いていまして。町工場の作業音をサンプリングして、DJに音楽を作ってもらうという試みです。
由紀精密 × Nao Tokui「YUKI TURNING」
ーとてもかっこいいですね。これは会社ではなく、業界全体のブランディングということですか?
はい、町工場自体をかっこよく、世の中に伝えたいという意図から始まっています。ネジ屋・電線屋・ばね屋などの実際の工場で撮影しました。若い人たちに、製造業に改めて興味を持ってもらいたい、という狙いがあります。おかげさまで、2017年度のグッドデザイン賞の金賞を受賞することができました。
ー大坪社長はこちらのムービーのプロデューサーなんですね!お話をお聞きして、本当にブランディングに優れた経営者だということを感じました。貴重なお話ありがとうございました。
こちらこそ、どうもありがとうございました。
大坪社長は、自らのビジョンを伝え表現することが、抜群に優れていらっしゃる経営者だと感じました。強みを”技術力”とし、それを海外の人や若者など、ターゲットにわかりやすく伝えることに特化したブランディング手法の鮮やかなこと!
他社より優れているオンリーワンの会社だからこそできる骨太な戦略、非常に勉強になりました。 営業の塚原さんの人柄が良く、どんな会社なのか知りたい、と思ったのが今回の訪問のきっかけでした。
由紀精密さま、マクロミルさま、このような機会を作って頂き、本当にありがとうございます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
従来のノベルティを超えた”企業ギフト”を作るには、このような技術力に優れたメーカーさんの力をお借りしながら行なっていきます。
企業ギフトをマーケティングの武器にして、リード獲得やナーチャリングのツールとしてファンを増やしましょう。
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